JUL.2014 『中小企業の海外戦略』

07.26

 ㈱E.C.I.代表取締役 花里 聡明
(ベンチャービジネス戦略研究会代表幹事、みのりカンボジア㈱東京事務所長)

Ⅰ.期待される中小企業の海外戦略

“失われた20年”から脱却し景気回復に向けて中小企業が舵を切る為の一つの戦略として、中小企業の海外戦略がある。国内の人口減少・市場飽和を前提に海外に目を向けた時、眼の前に今世紀大きく飛躍しているのがアジアである。この市場でどうやって事業展開をしていくかは、その企業の大きな市場機会の創出になる。

中小企業で海外に子会社や関連会社を持ち海外展開している法人企業は、少し前のデータだが、2006年時点で7551社となっており2001年に比べて19%増加している(総務省「事業所・企業統計調査」)。そして現在は更に増加している事が予想される。
海外直接投資は卸売業や小売業よりも製造業を中心に多く見受けられる。製造業においては一般機械器具製造、電子部品・デバイス製造業、食料品製造業の順で海外直接投資がおこなわれている。 
中小企業製品は、大企業に比べてアジア地域向け輸出割合が高くなっている。中国が1位で23%、ASEANが16.1%、韓国10.8%、台湾8.9%、香港6.3%、その他アジア地域1.9%で、アジア地域としてこれら合計が67.1%を占め、北米14.7に比べても如何に大きな割合を占めていることかが分かる(中小企業庁「規模別輸出額・輸入額」)。このように今後はアジア経済の発展ぶりを鑑みるならば、更に小売・サービス業の割合が高まっていくことが予想される。

協伸工業(株)(港区、従業員215名、資本金2億5760万円)は、プリント基板に組み込まれる部品等のメーカーで、工場が日本国内に3つベトナムに1つと共にシンガポールに販売拠点を持っている。ベトナム進出の契機は日本国内の取引先700社の海外進出であり、現在は現地従業員250名を抱えている。販売先は、現地4割、日本への輸出3割、残り3割をタイ、マレーシア、シンガポール、中国、香港等へ輸出している。今後はベトナムやシンガポールを拠点に、成長しているアジアへの販路開拓拡大を方針としている。 


Ⅱ. 注目の東南アジア地域~仏領インドシナ地域の国々

タイは、正常が安定していて敬虔な仏教国でもあり日本人との相性もよく賃金水準も日本と比較してはるかに低かったため、自動車部品等のメーカーを中心に多くの中小企業が進出している。しかし、昨今その賃金水準も上昇しつつあり、加うるに先の大規模な水害災害が発生して、タイ以外の国に工場転出や新たな進出先が求められるようになってきた。
こうした中、その目標となって期待がかかって注目されるようになって来たのが、かっての“仏領インドシナ地域”の国々である。1887年から1954年までフランスの支配下にあったインドシナ半島(インドシナ)東部地域である。現在のベトナム・ラオス・カンボジアを合わせた領域に相当する。周辺地域として、ミャンマーが更に北西部に位置する。
更に拡大された戦略的経済圏として、「拡大メコン・マレー経済圏」も注目される。構成国はタイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、マレーシア(+ミャンマー)で、人口が約2億5000万得人(+ミャンマー6000万人)をようし、日系企業数は12,500社(タイ8,000、ミャンマー50)となっている。その内、日本のCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)開発支援は、政府開発援助(ODA)と貿易、投資の有機的な結合を目指す方向で進められている。2008年1月に開催された「第1回日本メコン外相会議」においてはODAの拡充が強調され、4月にはCLMVを含むASEAN10ヵ国のとの間に日本ASEAN経済連携協定が締結された。日本とCLMVは新しい経済関係の時代に入った。

Ⅲ.今カンボジアが面白い、進出・投資に有望!

 

今回は、CLMVの内、特にカンボジアの概要を紹介したい。
1. カンボジア王国とは
 面積;18万㎡、人口;1,580万人(2010年)、政治体制;立憲君主制、経済成長率;10.3%(2004年~2008年平均)である。
カンボジア王国は、ポルポト氏よりフンセン氏に首相交代してから治安が良くなり、経済成長も2ケタ成長を続けている。丁度日本の30~40年代の雰囲気が感じられる。
2. 自然環境や資源
 旧・クメール帝国の中心で、台風や地震の心配はなく、水が豊富で農業・工業に適している。地下資源は、ダイヤモンドを除く全ての地下資源がある。
 このような恵まれた環境にも拘わらず、南太平洋の諸国のように環境に甘えての労働意欲の低さが見られず、労働意欲の高さは注目点である。
3. 首都の状況
 首都のプノンペンは、日本製の乗用車・バイクのラッシュである。屋台で商売している人、古いビルで商売している人、そうした中で最新デザインのビルが次々に建設されているという状況で、人々の燃える気持ちの様子が伝わってくる町中風情である。
4. カンボジア王国への起業・投資の優位性
(1)ベトナムや中国のような社会主義国とは異なり、お金の出し入れに制限はない。又取引は、全てドルベースで行われており安全である。
(2)言語は、ビジネスにおいても英語で行わるのでスムーズ・便利である(クメール語の必要はない)。
(3)当国の法律は、かって統治していた日本国の指導で作成されたもので、特に商取引に関しては日本と同じと考えても良いほどである。
(4)当国は永世中立・東洋のスイスを標榜しており、特に銀行業務の充実性が見られる。 
(5)当国の日本・日本人・日本製品に対する評価の高さも特記出来る事である。
(6)税制面においても、法人税が最大9年間免除される優遇制度や関税の免除措置もある。
(7)若い労働力が豊富(30歳以下が60%)。人件費も安価でタイの3~4分の1である。
5. みのりカンボジア㈱(M社)の当国における優位性と進出の支援
(1)首都プノンペンに本社がある
 私が東京事務所長をしているM社においては、カンボジアの首都プノンペンに本社があり、元・日本や海外の銀行支店長で又元・カンボジアの銀行の初代頭取の宮内氏が常駐している。更に、現地の政治・財界関係者との強いコネクションを持っている事が、大きな優位性である。
(2)農業進出の機会
 現地では特に、500haの農業用地を開墾しており農業学校とも連携しているので、日本からの農業進出が大いに見込まれている。農産物と共に淡水魚(鰻、鯰)の生産も進められており、日本への輸出が期待されている。
(3)中国、タイ・ベトナムから工場移転の機会
又工業進出においても、人経費やカントリーリスク面等から進出が難しくなってきた中国の他、人件費、自然災害リスク面等から同様に危惧されてきたタイやベトナムから、カンボジアへの移転が起きており、M社でもこれらの面でコンサルティングしつつ移転のお世話もしている。
                                                                                 以上

 

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